「どちらかが遠くに行ってしまう日が来たらね、」
星がきれいな夜だ。
じゅんはけんのしゃべるのを半分ききながして、空を見る。
「聴いてる?どちらかがね、遠くへ行くときがきたら、もう一人もついて行くんだからね」
やくそくだ、とけんがいうので、指切りをしたいのだろうと思いじゅんはくるまっている毛布の中から手をさし出す。そろそろ秋が深まってきたので、毛布があっても少し寒い。海が近いこともあって、夜はずいぶん冷える。
ゆびきりげんまん。
けんが小指を絡ませて歌う。
「今日も一緒にいられたね」
じゅんが相変わらず空を見ながら言った。けんは歌いながら頷く。
だって、一緒に居る以外に選択肢はないもんなあ。と、じゅんは思った。
やがてけんの歌声がやみ、波の音が聞こえた。
耳を澄ませて、じゅんはとおくに聞こえる海をおもいうかべる。海上につづくまっすぐな滑走路がまぶたにうかんだ。
いつか見た、光る機体。ごうはあれに乗っていると言っていた。空の上は自分達の知らない世界だ。きっとこれからも、知ることはないだろうとじゅんは思う。
ごうは今も、飛んでいるのだろうか。
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なんか前に書いた夢際ってやつのつづき
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