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日々のsugar sugar mountain☆
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うちゅうひこうしのうた
2009/05/12(Tue) 22:49:24
 
 満月かな?と思って近所のコンビニへ行った帰りに足を止めた。よくよく見ると満月にはまだ足りない、少しだけ欠けた月だった。まだなのか、ちょうど過ぎたところなのかわからないけれど。そんなに毎日空ばっかり見上げてるわけじゃない。けれど、もう少ししたらひょっとするとよく空を見上げるようになるかもしれない。でもそのとき僕が見るのは空じゃなくて、宇宙だ。
 今の時代、宇宙へ行くこと自体はもうそんなに珍しいことじゃない。金持ちが月や火星へ旅行に行ったりする(月へ行って何をするんだか俺にはさっぱりわからないけれど。観光名所もないし)。ガンダムのアニメみたいに宇宙にコロニーを作ったり宇宙戦争が勃発したり、そんなすごい未来じゃないけれど着実に僕たちは宇宙は近づいた。
「健ちゃん」
玄関まで来たところで、もそもそと動く人影が俺に声をかけてきて、ちょっと心臓が跳ね上がりそうになったのは内緒だ。俺の安アパートのドアの前に立つ人影の正体はいのはらくんだった。
「おかえり健ちゃん」
「何!?びっくりするじゃん、携帯に連絡くれればよかったのに」
「解約しちゃったもん、もう」
ああ、そうか。とため息をつく。再来週から一年間は確実に携帯は通じないもんね、と俺は答える。
「つか、いのはらくんこんなとこ来てていいわけ?重要人物じゃないの?」
と半分茶化しながら俺が尋ねるといのはらくんはにへらと笑いながらしばらく友達にも会えないから好きにしてこいって言われたあ、と嬉しそうに言った。選ばれたのは嬉しいけど正直きついんだよなーと、酔っ払って掛けてきた電話でたまに愚痴ることがあった。だけど行きたいんでしょ?と俺が言うと、そりゃあもちろん!と無駄にでっかい声で答えるものだから、俺は受話器を遠ざけたのだった。
「宇宙に行ったら電話とか出来ないね、俺以外に愚痴聞いてくれる人いるの?」
と俺が言うといのはらくんは俺だって健ちゃん以外にも友達いるもん、宇宙にはいないけど。と言って笑った。いのはらくんならすぐに宇宙でも友達を作ってそうだと思った。宇宙人にもうざがられたりするのかなこの人、と思って想像すると少し可笑しい。
 まああがりなよ、と言う俺に、いのはらくんは、いやちょっと顔見たかっただけだからと言ってすぐに帰ろうとしたので、連れないなあ、といって別れた。
 もう遅い時間だったので、コンビニで買ってきたジャンプを少し読んで、寝た。朝目覚めると、いのはらくんはシャトルがあるアメリカに向かってしまっていた。こんなことならコンビニへなんて行かなければよかったと思って、しばらくジャンプを読むのをやめた。(3週間後には復活していた。)
 
 夢を見た。いのはらくんが宇宙へ出発した日だ。あらゆるニュースで特集されていたけれどそのどれもが宇宙へ行くこと自体ではなくて(前にも言ったとおり、宇宙へ行くのはもう珍しいことではないのだ)、その特殊な任務についてのようだった。俺はニュースを見なかった。ただ、いのはらくんが航空宇宙局からくれるメールと電話だけから情報を得た。だから内容は主に奴の周りで起こる面白い話とか、同僚の話とか、たわいもないことばかりだった。
 夢の中で、俺はいつものように仕事をしていた。俺は毎日畑仕事をしている。泥であちこち汚れた作業着を着て麦わらをかぶり、じいさんの遺した畑で野菜を作る。それが俺の仕事だ。その畑で、いのはらくんが俺に、
「俺はこれから地球を離れるけれど、お前はここで命をはぐくむんだな」
といった内容のことを言い、笑顔で手を振りながらいってきますと言い残してそのまま遠くへ行ってしまった。目が覚めると心の中に隙間が出来たような感じがした。そこに風が吹いてスースーする。このまま帰ってこないんじゃないかなんていう子供じみた心配は絶対に口に出すものか、と心に誓った。
 いのはらくんは最後にくれた電話で、俺に、健は地球で生きているって感じがするな、といった。どういう意味?と俺が尋ねるより先に、帰ったら健の野菜を食べたいといった。おれはしょうがねえな、といいながら内心とても嬉しかった。奴が帰ってくるまで野菜を作り続けていてやろうと思った。とりあえず俺は、そのうち来るだろう宇宙からの連絡を楽しみにしながら、植えたばかりのトマトの苗の世話に精を出すことにする。
 
 


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超とりあえずアップ (途中)
いわずもがなさかもとまあやさんの歌です・・ すいません(…)

何年か前に書いたメモの書き直しだけど前のはイノ健が逆ポジションだった。
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